リモートID特定地域とは、2022年6月の法改正により、個体識別情報の発信装置(以下、リモートID)がないドローンは原則、飛行させることができなくなりました。しかし、一定の要件を満たせば、国土交通省へ申請することでリモートIDがないドローンでも飛行させることが許可される制度です。
今回、職場でのドローン体験会に先立って、勉強がてら「リモートID特定地域」の申請を行ってみたのですが、結果は「再提出」でした。
本記事は、ドローンに興味がない人でも、課題を乗り越える過程や人との関わりの中で生きていくために大切なことを教えてくれた教訓でもあったので、最後まで読んでいただければ何かのヒントになるかもしれません。
最後まで読んでいただけるとありがたいです。
人情味ある役人魂
申請の届出は、専用WEBサイトから国土交通省航空局・地方航空局へ届け出ます。
申請には、飛行予定日時(9月14日、10:00〜12:00)と飛行区域の緯度経度、高度のマップデータや画像を添付する必要があります。
申請の流れは、
①WEBサイトで「申請提出」
②国土交通省航空局・地方航空局 無人航空機登録制度担当から申請受理報告と本人確認のための返答要請の自動配信メールの受信
③②メールう付属のリンクから本人確認
④国土交通省航空局・地方航空局で申請内容を審査
⑤結果通知、という流れです。
見逃していたプロセス「本人確認」
私の勘違いで、②を受信した以降は④へ移行すると思い込んでいました。
それに気づいたのは、飛行予定日を数日後に控えても⑤の連絡が入らないからです。
不安になって、②のメールを読み返したところ、③の手順が抜けていたことがわかりました。つまり、審査は保留状態になっていたわけで、慌てて本人確認の手続きを行いました。
もしも今回の申請が通らないとしても、リモートID対応の3号機があるので、体験会の開催には問題ありません。
しかし、自分のした手続きが正しかったのか間違っていたのか、はたまた、申請で飛行日時を把握しておきながら、直近になっても何の返答もないままでは、今後の運用への不安と気持ち悪さだけが残ってしまいます。
受け入れやすくありがたい「再提出」
申請結果の受信は諦めて迎えた体験会当日。いつもより早めに出勤してPCを起動したところ、国土交通省航空局・地方航空局 無人航空機登録制度担当担当部局からメールが届いていました。
申請結果は残念ながら「再提出」でしたが、自動配信の定形文にアドバイスが添えられていました。
全国から寄せられる膨大な数の審査に追われる中(たぶん)、飛行計画当日ギリギリになって返答したことに、責任感を感じました。
マネジメントの現場で生きるアドバイス
それは、通常は「地図がデータと一致しません。再提出してください」で済ませられるところでしょうが、飛行予定日を過ぎることなく申請内容に目を通した上でアドバイスが添えられていたので、拒絶された心象は全く湧き上がらず、逆に前向きな気持ちになれたことです。
もしも結果通知だけだったならば、「前向き」にはなれなかったでしょう。
人情味ある伝え方で、こうも受け止め方が変わってしまうという好事例を身をもって体験できたことは大きな収穫です。
再提出の理由
再提出の理由について、「緯度経度を60進数で記載していると思われます」との記載がありました。
国土地理院地図から求めた値のつもりでしたが、何かが足りなかったようです。
60進数とは?
申請に入力する情報は、60進数による座標を10進数に変換しなければなりませんでした。
たぶん、例えば「38度12分34秒56」を、「38.123456」と表記したことが再提出の理由だったと思います。
ちなみに緯度1度の距離は、このあたりで7~80㎞ほどとなりますが、システムに入力が必要な小数点以下6位の数字は、1,000万分の1になり、小数点以下第6位の差異は、0.7~0.8mということになります。
このことから、リモートID特定区域の申請は、現場をロープで囲い、「ここからここまで」と担当官に飛行区域を説明するような精度イメージです。
そしてこの難解な申請手続きは、そのイメージを非対面で説明するための仕組みであることを理解できました。
これも大きな収穫でした。
そして体験会は無事終了

絶好のドローン日和で迎えた6名での体験会は、リモートID特定地域の申請が不要な3号機で無事終了。
座学の後で、さまざまな飛行モードを参加者全員でテストしました。操縦は意外に簡単なのでみなさん楽しんでいたようです。

鷹さ100mの観音像の腰のあたり左側の小さな黒い点がドローンです。

左手はおカネを要求しているようにも見える大観音様ですが、近づいてみたら違いましたね。