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「失敗の本質・インパール作戦」の章を読み返しています

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「失敗の本質」

「失敗の本質」とは、大東亜戦争における日本軍の失敗を、現代(発刊当時)の組織一般にとっての教訓として生かすために、1984年5月にダイヤモンド社から発刊された本です。

20年ほど前に購入した「失敗の本質」

私が購入したのは20年ほど前と記憶していますが、いつか似たような状況が、もしも訪れた時に読み返したくなると思い、捨てずにとっておいた本です。

昨今のコロナ対応やオリンピックをめぐる情勢からこの本の存在を思いだし、今、あらためて再読しています。

「失敗の本質」の内容と構成

時代背景もあり人名や地名などを理解しながら読むには難しい本ですが、作戦名、サブタイトル、まとめなど、各章で統一的な構成になっているので、各作戦の教訓や失敗の背景のポイントが掴めやすいように記載されています。

例えば、37ページ。

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1.ノモンハン事件ー失敗の序曲ー

 作戦目的があいまいであり、中央と現地とのコミニュケーションが有効に機能しなかった。情報に関しても、その受容や解釈に独善性が見られ、戦闘では過度に精神主義が誇張された。


各章はこのような形で書きはじめられていて、以降、詳しい内容が記載されています。

インパール作戦

「失敗の本質」では タイトルの「インパール作戦」については次のように書かれています。

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4.インパール作戦ー賭の失敗ー

しなくてもよかった作戦。戦略的合理性を欠いたこの作戦がなぜ実施されるに至ったのか。作戦計画の決定過程に焦点をあて、人間関係を過度に重視する情緒主義や強烈な個人の突出を許容するシステムを明らかにする。

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「インパール作戦」とは、 1944年3月に、かつてビルマと呼ばれていた、インドシナ半島西に位置するミャンマーを舞台に決行された、無謀な史上最悪と言われている作戦です。

軍内部で否定的な意見があったものの、牟田口廉也中将の強硬な主張により作戦は決行され、精神論を重視した杜撰な作戦で多くの犠牲者を出し、世界戦史に残る凄惨な敗北となりました。

犠牲者の数は、戦闘よりも敗退途上での飢餓や疫病によるものが多くを占めており、その作戦がいかに無謀であったかを物語っています。

世紀の愚策「ジンギスカン作戦」

険しい山岳地の行軍では、牛や馬を使って輸送すれば、最終的に食料にもでき、画期的な作戦として敢行された「ジンギスカン作戦」は、いざ実行してみれば、3万頭もの牛や馬を引き連れての行軍は上空から標的にされやすいものでした。爆撃の音に驚いて牛が逃げたり、川で馬が物資ごと流されたりし、作戦発起前にして多くの軍需品と「食料」を失いました。

補給軽視を生んだのは、急襲突破一辺倒の作戦構想と敵戦力の過小評価でした。

◆東京都のポータルサイトでは、選手村での感染対策として、アクリル板の設置、小分けでの料理提供、トレーニング機器や手指消毒、など堂々と掲載されています。

中途半端にすすんだワクチン接種は、逆に、ウイルスに凶暴な変異をもたらす環境づくりに思えます。しかし都のサイトでは、選手村、会場、宿舎と場面ごとに対策がイラストで説明しているだけで、どれも特別なものではなく、街や職場でやっている対策と何ら変わりはありません。

国民大多数が抱える不安の声をよそに、聖火リレーが各地で中止され、バッハ会長が来日予定を中止する状況下で、多くの国民から歓迎されないオリンピックを強行開催する理由は何なのか、疑問に思う人も多いことでしょう。

戦力の逐次投入

ガダルカナル島の戦いの失敗とされる「戦力の逐次(小出し)投入」は、 米軍に占領された飛行場を奪回するため、日本軍は900人の部隊を投入したものの、1万人以上の米軍が待ち構えていて部隊は全滅。次に6千人の部隊を投入して敗退、3回目の作戦でようやく1万5千人を投入したものの、米軍はさらにその2倍に増員していて完敗しました。情報収集と分析を怠り、戦力を小出しにした結果でした。

◆中途半端な制限や期限をもって繰り返される「緊急事態宣言」は、「戦力の逐次(小出し)投入」で失敗した作戦と同じように思えます。

印象操作

当時の大新聞は「大本営発表」を垂れ流し、ガダルカナルの大敗による「撤退」を「転進」と表現し、あたかも作戦が成功しているかのように報じたのは周知の事実です。

◆先の菅総理大臣の記者会見で、記者からの緊急事態宣言の効果の有無についての質問に対し、「人の流れは減った」とすげ替えて答えた場面は、大本営発表で「転進」と表現したのと似ています。

この先はどうなるのか

専門家の中には、新規感染者数は6〜7月の季節要因で落ち着くという意見もあるようです。

しかし、「失敗の本質」を読めば読むほど、無謀といわれた中で決行された史上最悪の「インパール作戦」の再現に突き進んでいるかのように思えます。

オリンピックが強行開催されたこの秋冬には、これまでに経験したことのないような、悪夢の第5波が襲来するという気がしてなりません。

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